経過時間?現在日時?どっちがほしい?

このページでは、開始から終了までの経過時間をミリ秒やマイクロ秒(μ秒)計測する方法について説明します。

経過時間ではなく、現在日時をミリ秒単位で取得したいのであれば「VBAで現在日時をミリ秒単位で取得する」をご参照ください。

ミリ秒とマイクロ秒を正確に計測するには

現在時刻ではなく、VBAの処理の開始と終了までに掛かった時間をミリ秒やマイクロ秒で正確に計測したいことがあります。

ミリ秒もマイクロ秒もVBAの機能だけでは実現できないため、Windows APIを利用して実現します。なお、ミリ秒は1000分の1秒で、マイクロ秒は100万分の1秒のことです。1000倍の差があります。なお、ここでは使いませんがナノ秒は10億分の1秒で、マイクロ秒の1000分の1になります。

ミリ秒やマイクロ秒の取得には精度としては一番良いQueryPerformanceFrequency関数とQueryPerformanceCounter関数を使います。他にもミリ秒まで取得する関数としてGetTickCount関数やtimeGetTime関数がありますが、精度が悪いため採用しません。

QueryPerformanceFrequency関数とQueryPerformanceCounter関数は時刻ではなくシステムが起動してから関数を実行するまでの経過時間を取得します。使い方は少し特殊なためソースコード内で説明します。

マイクロ秒の計測

マイクロ秒の計測では以下の関数を用います。取得する際の単位は秒です。

1行目と2行目のDeclareはモジュール内にある最初の関数より上に記述してください。

ソースコードの説明

GetMicroSecond関数はシステム起動後の経過時間をマイクロ秒の精度で算出する関数です。これを2回呼び出して、その差から処理時間を計測することが出来ます。

QueryPerformanceCounter関数はシステムが起動してからの経過時間を取得する関数で、QueryPerformanceFrequency関数はCPUのクロック周波数より1秒間に増えるカウント数を取得する関数です。QueryPerformanceFrequency関数の結果はシステムが起動してからは変わらないため、1度取得してしまえばあとは使い回しができます。これについては改善点を後述しています。

QueryPerformanceCounter関数での取得値を、QueryPerformanceFrequency関数の取得値で割ると、システム起動後の経過時間が高精度で求められます。

精度はCPUの性能に依存するため、どれだけの精度が出るのかはPCごとに異なります。

高分解能パフォーマンスカウンタ値変数の型について

変数定義ではDouble型を利用しています。これには理由があります。

ネット上にあるマイクロ秒の取得方法では、高分解能パフォーマンスカウンタ値用の変数の型に、通貨型であるCurrency型を使っているものがとても多いですが、これには問題があります。

なぜCurrency型を使っているのかと言うと、おそらくマイクロソフトがサンプル(https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/aa730921.aspx)で出しているコードがそう書いてあるからだと思います。

何が問題なのかと言うと、型の精度が関数の結果と異なる点です。

16行目のQueryPerformanceCounter関数の引数はLARGE_INTEGER型という構造体になっており、実際のカウンタ値を保持する変数はLONGLONG型という、-9,223,372,036,854,775,808 ~ 9,223,372,036,854,775,807 の値範囲の符号付き 64ビット(8バイト)数値の型です。

それに対してVBAのCurrency型は整数15桁と小数4桁として-922,337,203,685,477.5808 ~ 922,337,203,685,477,5807 の値範囲の8バイトです。

見た目の数値は似ていますが整数精度が異なります。

そのため、PCが起動してからの時間が長い場合に、QueryPerformanceCounter関数の結果がCurrency型の範囲を超える懸念があるため、その状況になった場合にCurrency型で正しく取得できるかには疑問が残ります。

そのことから制約がなるべく少ない方がよいと思われるため、LONGLONGと同じ8バイトのDouble型で実装しています。

Double型にはCurrency型のような精度制約はありません。

なお、Variant型でももちろんいいのですが、型変換による遅延が発生するため高精度を求める場合はVariant型を使うのは避けた方がいいでしょう。

ミリ秒の計測

ミリ秒の計測は、上で作成したマイクロ秒算出関数を使います。単位をミリ秒にしているだけです。

 

利用方法

こんな感じで計測したい処理の前後で上記関数を呼び出して、計測後に差を算出することで処理時間を計測できます。

ここで出力される秒とミリ秒ですが、実行すると誤差が出ます。

その理由は、そもそもこういうコードの書き方をすることは無いとは思いますが、12行目と13行目、そして、21行目と22行目で計測が行われており、そのズレが影響しています。

実際に使う場合は、マイクロ秒のみかミリ秒のみかに限定して取得する方がズレが出ずに済みます。

改善点

上でも書いているのですが、QueryPerformanceFrequency関数は1度呼び出してしまえば使い回しが出来るため、GetMicroSecond関数を呼ぶ度に実行されるのは無駄です。

そこで、以下のように1度呼び出した結果を引数で持つようにすると無駄は減ります。

改善後の利用例ですが、10行目に変数宣言、13行目で取得を1度を行い、あとはそれを使いまわしています。